COLUMN
お役立ちコラム
2024/08/07
ZEH以上の省エネ性能を目指そう!
2025年に省エネ基準適合義務化となり、2030年までにZEH(水準)に引き上げられようとしています。
数年前まではZEHが補助金対象でしたが、もうZEHが当たり前、ZEH以上を目指す住宅会社が増えていることはおわかりかと思います。
ZEH以上の性能を目指す上で、どういったグレードがあるのか、どういう所を工夫していけば良いのかについて、お伝えしていきます。
- 目次
-
- 1.ZEHの性能とは?
- 2.ZEH以上の外皮グレード(等級、HEAT20)
- 2-1.【外皮】断熱等性能等級・HEAT20グレード
- 2-2.【一次エネ】一次エネルギー消費量等級
- 2-3.ZEH+
- 3.省エネ性能を上げていく上での注意点
- 3-1.『外皮』サッシや土間床の広さ
- 3-2.『一次エネ』吹抜け・小屋裏・ロフトの扱い
- 3-3.『一次エネ』床暖房による省エネ性能への影響
- 4.おすすめの省エネ証明書とは?
- 5.まとめ
ZEHの性能とは?
大きく分けて(1)外皮性能 (2)一次エネルギー性能 の2つの基準を満たす必要があります。
具体的には次の通りです。 ※6地域の例
(1)外皮性能
UA値(外皮平均熱貫流率) :0.60以下 (2025年4月施行の省エネ基準値 0.87以下)
(2)一次エネルギー性能
太陽光除く一次エネルギー消費量削減率:20%以上
太陽光含む一次エネルギー消費量削減率:100%以上
太陽光等含め、エネルギー使用量が発電量を上回る(100%以上エネルギー消費量削減)となりますが、
断熱性能や、太陽光除く省エネ性能も、一定以上の基準を満たしていないといけません。
~ZEHとZEH水準は違う?~
ZEH水準は、ZEHの基準から『太陽光発電設備等を除いた』基準になります。
したがって、UA値と太陽光発電等を除く一次エネルギー削減率はZEHと同じです。
※2030年までに省エネ義務基準が引上げされる見込みですが、その際、こちらの基準になります。
ZEH以上の外皮グレード(等級、HEAT20)
【外皮】断熱等性能等級・HEAT20グレード
ZEH以上の性能を目指すにあたって、必ず知っておかなくてはならないのは、
断熱等級(断熱等性能等級)とHEAT20のグレード、基準値です。
6地域(東京等)を中心としました、基準値例を次に示します。
UA値 | 断熱等性能等級 | HEAT20 |
---|---|---|
0.87 | 等級4(省エネ基準) | |
0.60 | 等級5(ZEH基準) | |
0.56 | G1グレード | |
0.46 | 等級6 | G2グレード |
0.26 | 等級7 | G3グレード |
地域によって等級6,7とG2-3グレードの優劣が変わりますが、概ね上記の通りです。
ZEH基準が当たり前になり、G1グレード・断熱等級6がZEHの次なるスタンダードに向かっているといえるでしょう。
【一次エネ】一次エネルギー消費量等級
一次エネルギー消費量ですが、ZEH基準(20%以上)=等級6(最高等級)になります。
ZEH+
ZEHの上位グレードに『ZEH+』というものがありますが、
あくまで、環境省や経産省が行っていますZEH補助金のグレードであり、国が定める等級などではありません。
性能をワンランク、ツーランク上げることで、掛かり増しを考慮し、国より補助を受けることができます。
※下表は、R6年度環境省・経産省ZEH補助金の際の、補助額と性能です。
(通常ZEHは55万円/戸です)
補助額 | UA値 | 一次エネ削減(1) | 一次エネ削減(2) | その他要件 |
---|---|---|---|---|
100万円/戸 | ※1 | 25%以上 | 100%以上 | ※1 |
110万円/戸 | 0.46以下 | 30%以上 | 100%以上 | ※2 |
125万円/戸 | 0.46以下 | 30%以上 | 100%以上 | ※3 |
補足
※1 UA:0.50以下 高度HEMS(指定の性能要件を満たす) V2H設備
上記いずれか2つ以上。 V2H設備=電気自動車の充電もしくは充放電設備
※2 高度HEMS(同上) V2H設備等 いずれか
※3 高度HEMS(同上) V2H設備等 両方
省エネ性能を上げていく上での注意点
省エネ性能を高めていくには、ただ断熱材の性能を上げて厚みを増やせば良い、というわけではありません。
コツがありますので、建築主のニーズとのバランスをみながら、程よく取り込んでいくことが大切でしょう。
『外皮』サッシや土間床の広さ
サッシ(外部サッシ)や、床断熱における玄関土間の大きさは、相対的に断熱性能が低い部位になりますので、大きければ大きいほど、省エネ性能が下がります。
対策として、次のような方法が挙げられます。
(1)サッシ面積をおさえるため、不要と思われる箇所へサッシを検討しない
南面へ大きく面積を取り、夏場の日差しがきつい東西面、北面のサッシ面積をおさえる
(2)玄関土間の面積を小さくする
玄関土間にも断熱施工できるように検討する(断熱材有無のみで大きく変わります)
『一次エネ』吹抜け・小屋裏・ロフトの扱い
吹抜けや小屋裏、ロフトなど、楽しく豊かな住まいへの彩りになることは間違いないでしょう。
しかしながら、一次エネルギー消費量計算上、床面積へ算入しないといけない場合がありますので、把握しておく必要があります。
床面積算入の原則
(1)吹き抜け部分
下階FL~4,200m以上の範囲は、床面積へ算入
(2)小屋裏・ロフトなど
CH1,400以下かつ、下階や隣接空間と『同一空間』の場合、床面積へ算入
※申請時に質疑を受けると想定外の不利側に。注意が必要です。
『一次エネ』床暖房による省エネ性能への影響
一次エネルギー消費量計算へ算入の設備ですが、現在主に使われているものの多くは省エネのものとなっています。
しかしながら、床暖房のみは、一次エネルギー消費量を大きく引き上げる可能性が高く、注意が必要です。
電気式より温水式床暖房のほうが省エネ性能は少し高く、
おすすめは『ハイブリッド給湯器と熱源一体型の温水床暖房』です。
▲こちらですと、省エネ性能をそこまで落とさず、進められるでしょう。
※床暖房は敷設率(床面積に対してどれだけ敷設されたか)を計算に算入できますが、
有利にするために敷設面積をコントロールしますと、非現実的になる可能性が高い為、推奨できません。
おすすめの省エネ証明書とは?
計算結果を建築主の方へ提示するのも良いですが、やはり第三者が評価した証明書が喜ばれるものです。
目的に応じて、使い分けることを推奨します。(エコプラスでは、下記全ての証明書に対応しています)
(1)省エネ性能をわかりやすく示したい、太陽光発電結果を載せたい
→BELS評価書
(2)省エネの他、耐震等級や別の等級も取得し、住宅性能を広くPRしたい
→設計住宅性能評価書
(3)長く住める家を届けたい!
→長期優良住宅(認定通知書)
他にも様々な省エネ証明書がありますので、
気になった際は、お気軽に問合せ下さい。
まとめ
ZEHと、ZEH以上の省エネ性能についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
家電同様、住宅も、省エネ性能で選ばれる時代になってきています。
むしろ、さらにその動きは進むでしょう。
省エネ性能を上げることで、建築主も快適で健康的な生活を送ることができ、医療費などを減らすことができる可能性が高いです。
共に良い住まいづくりに進んで行けましたら幸いです。
お読み頂きましてありがとうございました。