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お役立ちコラム
2024/08/07
断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級はご存知ですか?概要と計算方法をチェック
『断熱等級6相当』『等級7相当』などという住宅が増えてきているようですが、この等級についてどういったものかご存知でしょうか。
断熱等性能等級や一次エネルギー消費量等級、そして仕様基準と標準計算など、等級を取得するための概要についてまとめていきます。
そして、第三者評価によって取得ができます『BELS評価書』『長期優良住宅』など、代表的なものを紹介していきます。
- 目次
品確法(性能表示制度)の等級
断熱・一次エネルギー消費量等級と性能値
断熱等級(断熱等性能等級)、一次エネルギー消費量等級は、耐震等級等と同じく、品確法によって定められた性能等級です。
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)が定められるまでは、住宅の性能を客観的に示すことが難しく、エンドユーザーにとっての住宅の良し悪し判断が難しい状況でした。
そこで同法ができ、第三者機関が設計図書等を審査し、全国共通の性能指標により等級を表示させることができるようになりました。
断熱等級については、地域によって各等級の基準値が異なりますが、一次エネルギー消費量等級は全国共通の基準となっています。
等級と性能値について、下記に例を示します。
断熱等性能等級の例(6地域 東京等の場合)
UA値 | ηAC値 | |
---|---|---|
等級4(2025年義務基準) | 0.87以下 | 2.8以下 |
等級5(ZEH水準) | 0.60以下 | 〃 |
等級6 | 0.46以下 | 〃 |
等級7 | 0.27以下 | 〃 |
一次エネルギー消費量等級の例(6地域 東京等の場合)
削減率 | |
---|---|
等級4(2025年義務基準) | 0%以上 |
等級5 | 10%以上 |
等級6(ZEH水準) | 20%以上 |
省エネ基準(2025年義務基準)とZEH水準(2030年までに義務基準引上げ予定)
2025年4月より義務化されます省エネ基準と、2030年までに義務基準として引上げ予定の『ZEH水準』につきまして、上の表を参考にして頂けたらと思います。
■2024年現在
省エネ基準 断熱等級4 一次エネルギー消費量等級4
ZEH水準(誘導基準) 断熱等級5 一次エネルギー消費量等級6
※長期優良住宅や認定低炭素住宅等は、省エネの基準が『誘導基準(ZEH水準:2024年時点)』となっていますので、
義務基準引上げにより、更に高い性能を求められる可能性がゼロではありません。
等級を確認するためには仕様検討・計算が必要
等級ですが、決められた計算・判定方法にて行う必要があります。
どのような方法で等級を確認できるか、お伝えしていきます。
※~等級5相当などと謳う例がありますが、
第三者評価機関にて『~等級5認証』と取得されることを推奨いたします。
計算方法 ~仕様基準と標準計算~
仕様基準とは?
仕様基準とは、名前の通り、各仕様について、『国が定めた基準を満たすかどうかの確認を行う』方法です。
※画像引用元 国交省 木造戸建住宅の仕様基準ガイドブック_4~7地域_省エネ基準編_第3版.pdf (mlit.go.jp)
■UA値やηAC値、一次エネルギー消費量削減率などの数値評価はできず、
あくまで『省エネ基準』『誘導基準(ZEH水準)』への適合可否のみの判定のみが可能です。
■仕様基準は限られた仕様に対する『基準仕様』のみのため、
該当しない場合は、仕様基準にて提出不可能(一次エネルギーの場合は、一次エネルギー消費量計算にて、基準値を上回ることを確認等)になりますので、自由度が低いというデメリットがあるでしょう。
標準計算とは?
標準計算とは、仕様基準と異なり、外皮計算や一次エネルギー消費量計算を行い、細かく性能値を出していく方法です。
一定の手間・労力がかかりますが、正確な性能値を出すことができ、エンドユーザーにも喜んでもらえるでしょう。
ZEHや断熱等級6以上等の性能値、証明書取得は、仕様基準ではできず、こちらのみになります。
仕様基準・標準計算の使い分けが大切
両方の検討方法には一長一短があり、必ずしもどちらが良いとは言い切れないところがございます。
2025年4月からは省エネ基準適合義務化にて、平屋かつ200㎡以下の住宅以外は、何らかの書類提出が求められますので、使い分けを考えておく必要があるでしょう。
■仕様基準がおすすめ
省エネ適合性判定(2025年4月~ 下記参照)を省略し、確認済証交付の日数を削減
■標準計算がおすすめ
エンドユーザーへの住宅性能値可視化、省エネ提案 (他社との差別化・付加価値提案)
長期優良住宅やZEH(BELS評価書等)による恩恵(補助金、税制優遇、ローン金利優遇等)
様々な省エネ証明書
省エネ関連には、様々な省エネ証明書がありますので、目的に応じて使い分けできるようしておくのが良いでしょう。
■設計住宅性能評価書
断熱や一次エネルギー、耐震など、様々な等級を第三者評価により表示できる『通知表』のようなものです。
耐震等級3と省エネをセットで取得する、といった使い方をよく見かけます。
※画像引用元 国交省 hyoukasyo_160401.pdf (mlit.go.jp)
■長期優良住宅
省エネ、耐震、維持管理、劣化対策などの各基準・仕様を満たし、行政の認定を取得することで、
長期優良住宅認定を謳うことができます。
『長くよりよく住まう』住宅のため、
認定取得の手間や、認定後の定期点検など大変な側面もありますが、
補助金の他、税制優遇も受けることができ、価値の高い住宅を提供できるでしょう。
■BELS評価書
省エネ性能を★の数などでわかりやすく表示する評価書です。
ZEHの認定や省エネ補助金などによく使われていますが、
2024年4月より建売・賃貸物件に始まりました『省エネ性能表示努力義務化』の省エネ性能ラベルもあわせて発行されるようになり、今後ニーズがさらに増えていくことが想定されます。
その他にも、省エネ性能を表示させる認定書がいくつかありますので、
ぜひ、当HP(エコプラス)を参考にして頂けましたら幸いです。
まとめ
省エネ性能に対する建築主のニーズの高まりの中、断熱等級や一次エネルギー等級に関する注目も高まっており、
要点をまとめさせていただきました。
家電などで省エネ性能を★の数で示しているように、住宅のBELS・省エネラベリングなども今後広まっていくのではないかと思います。
ぜひ、エコプラスで今後の参考にして頂き、お力添え出来ましたら幸いです。
お読み頂き、ありがとうございました。