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お役立ちコラム
2025/01/29
【GX志向型住宅とは?】基準や条件、BELS申請等のポイントを解説!

2024年補正予算にて、『子育てグリーン住宅支援事業(補助金)』が確定し、GX志向型住宅という新たなグレードが誕生しました。
外張付加断熱は必要?エアコンはどの品番を使えばいい?給湯器も限定される?等、気になるところが多々あるかと思います。
それらを中心に、GX志向型住宅達成、補助金取得のためのヒントをお伝えできればと思います。
- 目次
-
- 1.GX志向型住宅はどのくらいの性能?
- 1-1.省エネ性能・対象HEMS・太陽光必須
- 1-2.対象証明書=BELS
- 2.具体的な省エネ仕様検討のコツ『外皮性能』
- 2-1.【等級6】断熱性能を強化し、付加断熱をせずに概ね達成レベル
- 2-2.サッシの大きさや数もシビアに関わってくる
- 2-3.細かい部位の仕様検討も行いたい
- 3.具体的な省エネ仕様検討のコツ『一次エネルギー性能』
- 3-1.再エネ除き35%以上削減は意外とシビア
- 3-2.肝となるのは『給湯』『換気』
- 3-3.ダクトレス熱交換換気に注意!
- 3-4.施主支給の多いエアコンの優先順位を下げる
- 3-5.太陽光発電自体は容量を相対的に抑えられる
- 4.まとめ
- 4-1.子育てグリーン補助金について知りたい方はこちら
GX志向型住宅はどのくらいの性能?
省エネ性能・対象HEMS・太陽光必須
GX志向型住宅の基準ですが、次の3点と発表されています。
あくまで省エネ性能のみであり、耐震性や省令準耐火のような他の基準は含まれないようです。
※HEMS(高度エネマネ)の導入が必須になっています。
(1)外皮:断熱等性能等級6以上 UA値0.46以下
(2)一次エネ:一次エネルギー消費削減率 35%以上(再エネ除く)
※再エネ含み100%以上
対象証明書=BELS
GX志向型住宅の証明書は『BELS評価書』と決定となりました。
(子育てグリーン補助金HPより)
*対象性能を満たす必要がございます。
具体的な省エネ仕様検討のコツ『外皮性能』
【等級6】断熱性能を強化し、付加断熱をせずに概ね達成レベル
ZEHの基準が断熱等級5であり、ZEHのワンランク上にあたる等級6ですが、
壁の外張付加断熱等をせずに達成する可能性が高いグレードの為、敷居としては高くないといえます。
(もちろん既存断熱材の性能や厚みを上げていく必要がある場合があります)
吹付とグラスウールの仕様例について、ご参考までに下記に示します。
階数や規模によっても性能値は変動しますので、あくまで一例として捉えて頂けたらと思います。

サッシの大きさや数もシビアに関わってくる
シビアになる部分として、『サッシの大きさ・数』がございます。
ZEH水準の基準上の仕様からGX志向型住宅にアップグレードする際、
断熱性能の向上ではどうしても頭打ちになるものです。
その際にサッシの見直しをされるケースが多いようです。
プランニングや建築主のご要望上、大きめのサッシを希望されることも多いと思います。
そちらを優先される際は、サッシのグレードを上げる(ガス入り、トリプルガラスにする等)方向性となります。
相応のコストアップになるかと思いますので、設備(後述)含め、全体の掛かりまし額を出して進められるかの検討を頂けたらと思います。
細かい部位の仕様検討も行いたい
外皮部位による外皮面積の割合によって、全体のUA値への影響度合いが変わってきます。
外壁や屋根(天井)はUA値への影響が大きい部位になります。
一方、バルコニー下(下屋)や外気に接する床は比較的小さいことも多く、グレードアップしてもUA値が変わらないことも多い為、細かい箇所は性能を上げないでおくのも宜しいかもしれません。

また、玄関土間は施工上無断熱にされるケースが多いですが、面積規模のわりに非常に熱損失が大きくなります。必要十分な面積とし、少しでも立上りや床面に施工されるだけでも性能としては上がるようです(計算方法などは都度評価機関等への確認が必要です)
具体的な省エネ仕様検討のコツ『一次エネルギー性能』
再エネ除き35%以上削減は意外とシビア
太陽光発電を含めずに35%以上の一次エネ削減は想像以上にシビアです。
一方、設備の種類が限られている為、一定以上のハイグレード品にする、細かい性能値を加味する等、行うべきグレードアップは決まってきます。(後述)
肝となるのは『給湯』『換気』
太陽光発電等を除く一次エネルギー消費量計算では、次の設備が対象になります。
暖冷房・換気(熱交換)・給湯・照明
エアコンは建築主支給のケースが多いことと、照明は伸びしろが大きくない為、
換気や給湯の性能向上が優先度としては高くなるようです。
給湯はエコキュート上位クラス、或いはハイブリッド給湯器いずれかになるケースが多いようです。
他の仕様を上げ、(性能値加味を含みます)、エコキュートにてまとめるケース、
建築主がガス希望で最初からハイブリッド給湯にされ、他の仕様をおさえるケース等、
バランスをみながら検討していくことが多い傾向です。
換気は壁付式3種換気(パイプファン)でも性能値加味によって、ある程度の削減率になります。
また、ダクト式・ダクトレス熱交換は比消費電力は大きいですが、熱交換の効率まで加味しますと、パイプファン等よりも省エネ性能はより高くなります。

熱交換によって、暖冷房で作られた空気が逃げづらく(外気も入りづらく)なりますので、冬の寒さや酷暑の時期などは、住まい手の強い味方になるといえるでしょう。
※画像引用元 株式会社MXエンジニアリング 『熱交換換気システムが必要か?1』https://mx-eng.jp/dannetsu_column/netsukokan/
ダクトレス熱交換換気に注意!
ダクトレス熱交換にて、2台1ペアで、一定時間おきに給気と排気が切り替わるものについては、
熱交換の性能値加味が出来ない(2025年1月20日時点)状況となっています。
※1台同時給排気完結型のダクトレス熱交換(Panasonic IAQ-V等)は、
熱交換まで性能を計算に入れられるため、有利側になっています。
施主支給の多いエアコンの優先順位を下げる
施主購入のケースが非常に多いエアコンですが、本来は高性能品(省エネ区分(い))を用いるのが最善です。
しかしなかなか厳しい場合は、下記のような他の性能値加味によって、エアコンの優先度を下げることが出来ます。
・水栓の節湯機能算入(水優先吐水等)
・照明の調光、人感センサー等の算入
・エアコンの小能力時高効率型コンプレッサーの性能値加味 等
給湯器や換気等との兼ね合いにもなりますが、必ずしもエアコンを最高レベルの省エネ水準品にしなくても良いといえるでしょう。
太陽光発電自体は容量を相対的に抑えられる
太陽光含む一次エネルギー消費削減率は100%以上のままですので、
相対的に太陽光発電の基準容量は下がることになります。
自家消費できなかった発電分については売電されますし、
太陽光パネルの処分等のコストも大きくなるとされていますので、
必要な分の容量を搭載されることが推奨されます。
まとめ
GX志向型住宅にするための設計上・省エネ計算上のポイントをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
一定以上の性能向上による掛かりましは生じるかと思いますが、
子育てグリーン補助金の補助額が160万円と、魅力的なものかと思います。
お読みくださいましてありがとうございました。
子育てグリーン補助金について知りたい方はこちら

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